今、遠距離介護が増えている。これには、現代ならではの理由もあるようだ。
まず、現在の日本は核家族化が増加の一途を辿っていることも、遠距離介護が増えている理由の一つである。核家族とは、夫婦や親子のみで成り立っている家族のことだ。一昔前の、祖父母や孫と同居をしているような構成ではない。現代では、高齢の親が田舎で生活し、子どもは自分の家族、家庭をもって都会で生活することが一般的になっている。
また、親としても、子どもに迷惑をかけたくないという考えが広まりつつあり、お互いに気を使いながら暮らすより、自由きままに余生を過ごしたいと考える親世代も増えたように思う。このように、同居をしていない家庭が増え、必然的に遠距離介護になることも少なくはないだろう。
ここで、「介護が必要になったタイミングで同居をすればいいのではないか」という意見もちらほら出始める。しかし、それは簡単にできることではない。なぜなら、同居をし在宅介護に切り替えるには、親と子ども双方の様々な事情が絡んでくるからだ。
一般的に、親の介護が必要になる年齢は、70〜80代からだろう。その頃、子どもの年齢は、40〜50代と予想ができる。最も、働き盛りと言われる年齢だ。会社でも責任のある業務を任され、そこに家庭の事情も絡む。子育て中であれば、転校をさせなければならないし、同時に学費もかさむ時期かもしれない。年齢的に、一度退職してしまうと再就職も簡単ではない可能性がある。こういった事情が、遠距離介護が増えている理由の一つと言えるだろう。